稀勢の里の引退について思うこと
横綱・稀勢の里(32)が、16日、両国国技館(東京・墨田)で引退の記者会見を行った。
「土俵人生において、一片の悔いもない」と語ってはいるが、ここまで引退せずに頑張ってきたことを見ると、いろいろ心残りなことが多いのではないかと
いう事は想像に難くない。
結局、無理をして怪我をしたことがこの結果につながったのだと思うが、そこまで無理をしたのは横綱としての責任感からだと思う。
それまではほとんど大きな怪我をしたことがなかったのだから、何とも不運な事だ。
もしかしたら横綱になるのがちょっと早すぎたのではないか?
諸所の事情から無理に横綱にさせられてしまったのではないか?
と思わないでもない。
もちろん本人も横綱になりたかったことは間違いないだろうし、誰もが望んだ事だとは思う。
ただ、あまりにも責任感が強い人が本人の能力より上のポジションについた場合、自分の限界を超えて無理をしてしまうことがよくある。
スポーツにおける怪我は、「不運」という要素もあるが、同時に「無理をした」という要素も大きいように思う。
誰かを新たな地位につける場合、仮に本人がそれを望んだとしても、それによって増える負担に耐えられるかどうかを客観的に十分考え、時には
いじわるとも思える決断を下すことが、管理する側の、最も大切な責任だと思う。
ただ、多くの場合、その人の増える負担により、管理する側の利益が増えたり負担が減ったりもするので、それを止めること難しいのが現状だ。
稀勢の里の引退の話を聞いて、サラリーマンの過労死を連想してしまうのは私だけだろうか。
ただ、立場、環境が人を作ることもあるので、一概に無理をさせることが悪いとも言えないところが難しいところなのだが。
いずれにせよ、稀勢の里関、本当にお疲れさまでした。
あなたが自分の相撲人生をかけて勝ち取った優勝とその感動は、多くのファンの胸に永遠に刻まれると思います。
ゆっくりと休養ののち、第二の人生、頑張ってください。